嘘です。
今日一日中、何の嘘をつこうか考え続けた末、
エイプリルフールが終わる30分前にようやく思いついたのがこのしょうもない嘘です。
そんなことはどうでもいいんです。
さっきね、家の横にあるホテルの前で見知らぬ黒人に声かけられました。
「すいません。ちょっといいですか?」
「なになに?」
「私、この辺の者やなくて、パリに住む者なんですけどね、
実はね、昨日終電なくしてしもうてここのホテルに泊まったんですわ。
んで、ホテル代払うたら、帰りの電車賃が足りなくってもうたんですわ。
4.8ユーロ足らないんですわ。お願いしますわ、4.8ユーロあったらいただけませんやろうか。
もうここで2時間もいてるんですけど、誰も話を聞いてくれやしませんねん。」
「ちょっと待ってや。」
僕は鞄の中をゴソゴソして、小銭を探しました。
そして、4.2ユーロを差し出しました。
「ちょっと足らへんけど。」
「いえいえありがとうございます。お礼といってはなんですけど、よかったらこれどうぞ。」
といって、7.6ユーロする映画館のチケットを2枚くれました。
得してるやん。
「情けは人の為ならず」とはまさにこのことですね。
ちなみに、「情けは人の為ならず」って言葉、
「情けをかけることは結局はその人の為にならない」という意味だと誤解しがちですが、
本当は、「人に情けをかけておくと、巡り巡って結局は自分の為になる」という意味ですからね。
「情けをかけるのは人(他人)の為ではなく、自分の為」だということです。
常にそういう心持でいたいものですね。
フランスにはお金や物をねだってくる物乞いが多いし、お金の為に人を騙す人だっている。
今回も、彼が本当のことを言っていたのかはわかりません。
おや?
ちょっと待てよ…。
あ、今日、エイプリルフールやん。まさか…。
あ、どうも山田です。取り乱しております。
エイプリルフールはフランスで生まれた習慣だそうです。
昔、ヨーロッパでは4月1日が新年だったのですが、
16世紀に、シャルル9世というフランスの王様が新しい暦を採用し、
現在の1月1日を新年としました。
これに反発した一部の国民が、4月1日を「嘘の新年」として、馬鹿騒ぎを始めました。
これに怒った王様は騒いだ人たちをみんな処刑してしまいます。
それを嘆き悲しんだ人々が、この出来事を忘れないようにと、
毎年4月1日に嘘をついたりジョークを言い合ったりしたのが、
エイプリルフールの起源とされています。
もっとも、確証はなく一つの説にすぎないそうですが。
また、フランスではエイプリルフールは「Poisson d'avril(ポワソン ダヴリル)」と言います。
ポワソンは魚、アヴリルは4月、つまり「4月の魚」という意味になります。
あんまり関係ないけど、歌手のアヴリル・ラヴィーンの名前は、ここから来ているそうです。
フランス人の父親が名付けたそうなのですが、実際は彼女は9月生まれだそうです。
話が脱線しましたが…
フランスでは、4月1日に、魚の絵をこっそり他人の背中に貼り、からかって楽しみます。
なぜ魚なのか…。
昔、4月になると魚が産卵期に入るということで、漁獲が禁止されていました。
その為、漁師はみな、3月中に獲れるだけの魚を獲ってしまうのです。
漁獲期間最終日である4月1日に、それを知らずに空バケツで漁から帰った人をからかい、
川に魚を放ってわざと釣らせてあげた、というのがその始まりだそうです。
恐らく、前述の出来事と合わさって、現在の風習となっているのでしょう。
で、本当にそんな風習があるのか?と疑問に思った僕は、
検証するためにパリへと向かいました。
しかし、どこにもそんな魚の絵を貼られた人はいませんでした。
見つけたのは、道に落ちていた「こんにゃく」の空きパックぐらいでした。
「なんでフランスにこんにゃく?」とか思いません。「なんで魚やないの?」と思いました。
家に帰ってジャケット脱いだら魚の絵が!!!
…なんてこともありませんでした。残念。
どうやら学校や家庭で子供たちが楽しむ風習のようです。
日仏交流コーディネーター
山田 剛士
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