2012年11月15日木曜日

寒空で、待てども待てども、白い息。

カフェにて。店員は中国人。

店員 「いらっしゃい」

山田 「こんにちは」

店員 「あんた中国人じゃないね」

山田 「日本人ですけど」

店員 「だから中国人じゃないって言ったじゃない」

山田 「は、はい」

店員 「モンゴル人?」

山田 「いや、日本人言うたやん」

店員 「ふーん。あたし中国人」

山田 「コーヒー一杯。」

店員 「はいよー!!」

よくわからないやり取りでした。


確かに高校時代に「モンゴル人」ってあだ名されたことはあったけども…

あ、どうも山田です。


今日は仕事でMeaux(モー)という街に行ってきました。

地図で見たら家からそんなに遠くないのに、

実際行くにはだいぶ遠回りしないといけない片田舎の街です。

最初の乗り換えで電車が30分遅れ、

やっと乗った電車は降りる駅の100メートル手前で15分立ち往生し、

二回目の乗り換えでも電車は30分遅れる。

結果、だいぶ余裕を持って家を出たのに、45分遅れで到着。

いやいや、後で笑える話ならええけど、ネタにもならへん。

仕事に支障がなかったのが不幸中の幸い。

午前のうちにMeauxでの仕事が終わって、会社に戻ろうと駅へ。

しかし待てども待てども電車が来る気配がない。

駅員さんに聞くと「17時まで電車はない」とかぬかしよる。

さすがにここまで来ると笑える。

線路の工事の為にここ数日は朝と夜しか電車は動かないとのことです。

工事…夜中にやれよ。

日本では線路工事も道路工事も夜中にやることが多いですが、

こっちではそんな「お客様」重視の考え方はありません。

「客」に対する概念が違うのだと思います。

「もの(サービス)を売る者」と「もの(サービス)を買う者」を対等に見ているように感じます。

「お金」をもらうから「もの(サービス)」を売る。

それ以上の、「客の喜びのために頼まれてもないのに無償でサービスをする」なんてことはない。

もちろん業種にもよるし、会社にも、人にもよるので一概には言えませんが。

でもそう考えると、日本の「おもてなし」「ホスピタリティ」は

世界に誇れる素晴らしい精神だと改めて感じます。


とにかく電車がないので、あきらめて観光。

ということで大聖堂に行ってみました。






荘厳のひとこと。

車もクレーンもない時代にどうやってこれを建てたのだろうか。




中はこんな感じ。

大聖堂の中は、どこもそうですが、静寂で、どこか神秘的な雰囲気があります。

風がなく、無機質なこの空間で人は神と一対一になります。

自然に囲まれた日本の神社とは正反対です。

ここにもまた、日本とフランスの違いについてのヒントが隠されているような気がします。



それでは、Meauxの街で見つけたおかしな一枚で今日はお別れです。




歩行者用の信号の位置、絶対おかしいから。


2012年11月5日月曜日

シロクマに、描かれた文字から、広がる世界

月曜日の憂鬱な朝に、爽やかなパリの風をおすそわけ。

山田のぶらりパリ散歩旅のお時間です。

写真を中心にお楽しみください。

さて、今日はどこに行こうかな?

と、向かった先は…




そう、みなさんご存知エッフェル塔です。

形といい色といいやっぱり絵になります。

エッフェル塔の麓にあるシャン・ド・マルス公園には、くまさんがいっぱいいました。




Buudy Bearという世界平和を願った団体の展示会だそうで、

世界各国のデザインを身に纏ったくまさんがずらりと並んでいました。

それではその一部をご紹介しましょう。



イタリアのくまさん。カラフル。



アメリカのくまさん。自由の女熊。



地元フランスのくまさん。豪華。



ボリビアのくまさん。ってかもはやくまではない。シーサーに近い。



そして我らが日本のくまさん。ザ・シンプル。

右手に日の丸、身体には和歌が描かれています。









思わず横にいたおばちゃんに、

「すみません、写真を一枚撮っていただけますか?」とお願いしてしまいました。

「あらいいわよ、いいの一枚撮ったげる!」と心よくOKしてくれたおばちゃんでしたが、

携帯カメラの使い方全くわからず四苦八苦していました…。

「おかしいわね、画面が消えちゃったわ!!」

いや、おばちゃん、そこ電源ボタンやから…。

3枚のブレブレ写真、2枚のおばちゃんの手、1枚のおばちゃんの自撮り、

そして1枚の完璧なやつ撮ってくれました。

ありがとう、おばちゃん!!

自撮りは消しとくね。


ちなみに、描かれているのは森鴎外の

「まばらなぬ びんを秋風 ふく頃を わかゆと夢に 君は見つとや」という和歌で、

「夢の中で、私はまだ若く、私を見る君の髪を秋風がなびかせていた」といった意味だそうです。


そういえば、前回から、ブログのタイトルを五七五の川柳にしています。

タイトルをつけるのに毎回悩んでいたんですけど、

何かおもしろいテーマを決めてやりたいなと思って。

川柳とか俳句って「五七五」の17文字しか使えません。

すごく短い文で、そこからは最小限の情報しか与えらないわけですが、

それだからこそ、そこから情景が浮かんできます。

読み手の想像力でいくらでも世界が広がっていきます。

僕のタイトルからは…広がるかな?笑




それでは、エッフェルとセーヌに沈む夕陽のコントラストで今日はお別れです。



日仏交流コーディネーター
山田 剛士

2012年11月3日土曜日

靴下の、泡に映った、母の労


さっき気づいた…。

うちの台所の蛇口、青い方に回したら熱いお湯出て、赤い方に回したら冷たい水出る。

こんなことあり得る!?

いやいや欠陥もええとこやでこれ!!

あれかな?お茶目なフランス人の悪戯なんかな?


あ、どうも欠陥住宅在住の山田です。


僕は学生寮に住んでいて、部屋にキッチンもトイレもシャワーも付いています。

洗濯機だけは共同です。


洗濯をしようと共同ランドリーに行きました。

しかし洗濯機は動かない。

壁の貼り紙には「洗濯をするにはmoneoが必要です」って書いてある。

moneoとは、10年以上前に登場したのに全く普及していないクレジットカードの一種。

やれやれ。

銀行で申し込みをして、一週間後にmoneoが届きました。

これで洗濯できる。

共同ランドリーに行き、moneoを機械に挿入しました。

しかし機械は受け付けない。

なんでやねん。断念。

フランス人の友達にその話をすると…

「ちゃんとmoneoのチャージした!?」

「え…!?これチャージ式なん!?」

「うん。」

なるほど。

銀行に行って、チャージ機にmoneoを挿入しました。

しかしチャージ機は受け付けない。

銀行のお姉さんに聞くと、「え?できないの?私もなぜかわからないわ。」

と、お手上げでお蔵入り。

結局使えへんのかい!!


というわけで、毎日服を手洗いしています。

穴の開いた靴下をゴシゴシしながら、遠き日の故郷の母を思い出します。

思えば、サッカー少年だった僕が毎日毎日ドロドロに汚して帰る靴下やユニフォームを

母は手洗いしてくれていました。

そのまま洗濯機に入れれば泥が詰まってしまうし、泥汚れは落ちにくいからでしょう。

しかも、僕だけではなく弟二人もサッカーをしていたし、妹もお転婆だったし、

その手洗いの量は想像がつきません。

僕がここまで来るのには、陰に偉大な母の苦労があったのだと、やっと気づきました。

洗濯機が使えないのは、

「ありがとう」もろくに言わなかった過去の自分に対する罰なのかもしれません。


便利さの中では気づかないそのありがたさは、不便さを経験することで気づくことができます。



日仏交流コーディネーター
山田 剛士

2012年11月2日金曜日

サムライ

「日本にはまだサムライがいるのか?」と聞かれたので、

「僕の名前は剛士、『強い侍』の意味なんだ!!」と言っておきました。

「じゃあ君がラストサムライか!!」

「ははは」

誰が渡辺兼やねん。


毎度、山田です。

そういえば、アホなことばっかり書いて、僕の仕事について全然書いてませんでした。

というわけで、今日は僕の仕事のひとつである、

「フランスの大学で日本についての講義をすること」について、

先日、第一回目の講義があったので紹介したいと思います。


講義をするのはマルヌ・ラ・ヴァレ大学という総合大学で、

この講義は学生はもとより一般の方でも誰でも受けることができます。

ただ、受けたからといって単位をもらえるわけではありません。

つまり、僕の講義次第で、減りもするし増えもするわけです。

ただ、初回の講義には80人もの学生が集まってくれました!!






「日本を発見しよう!!―日本と日本人の特徴―」と題した第一回目の講義。

初回ということで、まずは「自己紹介」と、「日本とはどんな国なのか」をおおまかに紹介しました。





フランス対日本の試合も紹介しました。

日本がフランスに勝っちゃったので、若干のブーイングを浴びました。


用意していたシナリオのデータを講義の直前に消してしまう。

マイクの音が出ず、大きな声で話さなければいけない。

僕が自己紹介で話そうと思っていた経歴を、大学側の担当者が全部言ってしまう。

などなど、相変わらずトラブル続きでしたが、なんとか無事に終わりました。

大学側も「初回にしては上出来!!」「ユーモアもあって素晴らしかった!!」などなど、称賛を浴びせてくれました。

この人たちは僕が「褒めれば伸びるタイプ」だと知っているのかな?

次回以降は、毎回ひとつのテーマに沿って「日本」を紹介していく予定です。

この講義を通して、一人でも多くのフランス人に「日本の魅力」「本当の日本」について知ってもらいたいと思います。


フランス人はもちろん、世界中の人々は自分の国に誇りを持っています。

しかし、昨今、日本人はその誇りを失いかけているように思います。

東日本大震災での被災者の冷静な行動を最初に報じたのは海外メディアでした。

世界が日本人を絶賛しました。

それを知った日本のメディアが「海外では日本をこう評している」と報じ、

それを見た我々は「素晴らしい」と思い、日本人であることを誇ったはずです。

つまり、日本人がその誇りを取り戻すためには、世界から評価される必要があるのではないか。

そのために、海外で日本のことを伝えることは大きな意味のあることだと思っています。

この講義が「日本人が『誇り』を取り戻す」ための一助となることを信じています。



日仏交流コーディネーター
山田 剛士