今朝の地元紙のスポーツ欄に昨日の僕たちの試合が載っていました。
さて、今日は大会最終日。
負ければ予選敗退の決まる重要な一戦で対戦したのはフランス・リーグアンのナンシーの下部組織。
今大会の試合は、ハーフタイムなしの12分1本で展開されるのですが、その最初の半分を無失点に抑えました。
しかし、1点を失うと、そこから失点を重ねて0‐3で敗北。
子供たちはまたしても悔し涙…。
しかし、今回の相手ナンシーが、初戦でボールすらまともに持たせてもらえなかったバスティアと同じぐらいのレベルであることを考えれば、ボールを回す場面が随所に見られたし、
ゴール前まで攻め込むシーンもいくつか見られたので、子供たちの大きな進歩を感じる事が出来ました。
最後の試合は、地元の強豪チームLANDERNEAUと対戦。
今回の遠征には、NSCのユニフォームとは別に、日本代表モデルのユニフォームを用意していました。
しかし、日本代表のユニフォームを着るという事は、それなりの覚悟が必要です。
みんなが日本代表として見ます。
特に今回の大会は、他のチームの子供や関係者や地元の人たちが、各試合をピッチの周りを囲むようにして観ていましたから、下手な試合は出来ないわけです。
なので、大会前に「試合に勝てば、次の試合から日本代表のユニフォームを着よう」ということを子供たちと約束していました。
結局、この最後の試合までに1勝もすることができなかったため、本来はこのユニフォームは着れないはずでしたが、最後の試合だという事で着せることにしました。
子供たちには試合前にこういう話をしました。
「たくさんの人たちがこの試合を観ている。
みんな日本のチームだと思って観ているし、このユニフォームを着ることで日本代表のジュニアチームだと思う人もいるかもしれない。
だからこそ、下手な試合はできない。別に負けるなと言っているわけじゃない。負けたっていい。
でも、絶対に諦めるな。1点取られても2点取られても、絶対に諦めるな。」と…。
どんな状況でも決して諦めない姿勢、それが日本のサッカーだと思ったからです。
さらに子供たちは、それぞれがこの試合でどういったことをするのか個人的な目標を決めて試合に挑みました。
そして、この試合は、忘れられないものになりました。僕にとっても、おそらく子供たちにとっても…。
序盤から相手のフィジカル、スピードに苦戦し、1点を失うとそこから立て続けに失点します。
3点を失った後にFKから1点を返しましたが、さらにそこから失点を繰り返しました。
しかし、何点決められようとも子供たちは決して諦めませんでした。
これまでの試合ではいとも簡単に抜かれ、ボールを奪われたらそこで足を止めていた子供たちが、この試合ではボールを奪い返すために懸命に走っている。
スライディングやタックルで必死にボールに食らいついてボールを奪おうとしている。
試合は1‐7で大敗しましたが、僕はこの試合の子供たちに大きな成長を感じました。
そして試合後、これまでは毎試合後に負けて泣いていた子供たちの目から、涙が零れる事はありませんでした。
それどころかどこかスッキリしたような顔で、「負けちゃったけど楽しかった!」と言うのです。
僕はこの言葉に非常に感慨深いものを感じました。
これこそが、サッカー(あるいはスポーツ)の醍醐味なのです。
もちろん勝利という結果を求めて戦うわけですから、勝てば嬉しいし、負ければ悔しい。
また、自分の思い通りのプレーが出来れば楽しい。
しかし、それらとは別のところに、最大限の力を出し切ることで生まれる楽しさがあります。
それを子供たちが感じてくれたことは、本当に大きなことだと思います。
試合後、他のチームの試合を観戦していると、多くの人が僕に声をかけてくれました。
「来年もまた来いよ!」とか「日本のチームは小さいのによく頑張った!」とか…。
今回の大会では1勝もできずに終わってしまいましたが、勝利することよりも大事なことを学べたのではないかと思います。
子供たちにとっても、僕にとっても素晴らしい経験となりました。
日仏交流コーディネーター
山田 剛士
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