先日、電車に乗ると、こんな落書きが目に飛び込んできました。
"Un peuple sans la connaissance de son passée et de sa culture est comme un arbre sans racine..."
「自分の国の歴史、文化を知らない者は、根っこのない木と同じである…」
まさにその通りやなと。
電車に落書きするような悪ガキもなかなかええこと書くやんと思いました。
歴史というのは、人々がどのようにその国を創ってきたのかという物語です。
その中で、文化という平和的な要素が創られていきます。
そして、その国の歴史、文化の出発地点であり、根っこの先の部分が建国ということになります。
皆さんは日本の建国について知っていますか?
日本の建国については以前にもこのブログで書かせていただきました。
まだご覧になっていない方は以下のリンクからどうぞ。
http://takeshi-yamada.blogspot.fr/2013/02/blog-post_12.html
さて、今回はフランスの建国にまつわるお話です。
7月14日。
この日はフランス人にとって最も大切な祝日、革命記念日でした。
1789年の7月14日のバスティーユ牢獄襲撃を発端に始まったフランス革命によって、
民衆を苦しめていた王政が民衆の手によって廃止され、
世界で初めての民主主義国家であるフランス共和国が建国されました。
つまり7月14日はフランスの革命記念日であり、建国記念日でもあるのです。
この日、フランス各地で行われるイベントは、日本ではパリ祭と呼ばれていますが(※1930年代にヒットした映画の邦題の影響)、
フランスでは単にキャトーズ・ジュイエ(7月14日の意)と呼ばれます。
特にパリのイベントは有名だということで、ギヨームと一緒に行ってきました。
まずは午前中のシャンゼリゼ通りでの軍事パレード。
シャンゼリゼ通りの端から端まで、つまり凱旋門からコンコルド広場(フランス革命でルイ16世やマリー・アントワネットが処刑された広場)に向かって、
警察、消防隊、軍隊(海軍、陸軍、空軍)などが行進します。
本来ならパトルイユ・ド・フランスという空軍のアクロバットチームによる航空ショーが見れたのですが、僕が寝坊したせいで間に合いませんでした…。
僕が到着する5分前に終わったようです。
軍事パレードの後はアンヴァリッドへ行ってみました。
ここは廃兵院といって、戦争などで負傷した兵士を看護する目的で建設された施設で、
現在は軍事博物館となっていて、地下にはナポレオンをはじめとするフランスの著名な将軍の棺が安置されています。
シャンゼリゼ通りでの軍事パレードを終えた戦車などがここに集結していました。
各軍隊の兵士もたくさんいて、彼らの体格ががっしりしているのは当然なのですが、
何よりも目つきが一般の人とはどこか違うなという印象を受けました。
フランス軍の兵士は約43万人で、日本の自衛隊員24万人と比べるといかに大きな軍隊であるかがわかります(※フランスの総人口は日本の約2分の1)。
シャンゼリゼ通りで喝采を受ける戦車や、アンヴァリッドですれ違った兵士を見ながら、
軍隊を持つとはどういうことなのか、その意味は何なのか、と少しばかり考えさせられました。
さて続いては、シャン・ド・マルスというエッフェル塔の裏にある大きな公園へ。
ここで19時からイベントがあるということで、のんびりその時を待ちました。
しかし、あまりにも暇なので、横で楽しそうにトランプゲームをしていた見知らぬ男女4人組にお願いをして、混ぜてもらいました。
人見知りの僕は「嫌や」って言ったんですが、ギヨームはどうしてもトランプがしたかったらしく…
「僕たちも混ぜてくれない?」って声をかけたギヨームに、その男女も迷うことなく「いいよ!」って。
さすがフランス人。
こういう見知らぬ人にでもすぐに声をかけて仲良くなれるのは、やはりフランス人のいいところだなと思います。
「ケムズ」っていう知らなかった新たなゲームを教えてもらいました。
面白かったので、日本に帰ったら流行らせたいと思います。
今後一年以内に、新しいトランプゲームが巷で流行っていたら、僕が仕掛け人やと思ってください。
さて、そうこうしているうちに19時になり、イベントが始まりました。
ここでのイベントとは、エッフェル塔をバックにしての無料コンサート。
毎年、豪華なアーティストが集まるそうなのですが、今年はクラシックコンサート。
なんでも20万人が集まったそうです。
まずはフランス国歌「ラ・マルセイエーズ」をクラシック調で。
ラ・マルセイエーズ(La Marseillaise)とは「マルセイユの人々」という意味で、
元はフランス革命の際に南仏マルセイユからパリへ向かう義勇兵たちが歌っていたものです。
全員が起立し、誇り高く声高らかに熱唱していました。
さすがフランス人。
僕は、歌詞が少ししかわからないので、ララララ~♪って歌ってるフリしときました。
その後は、クラシックの曲ばかりでしたが、僕でも聴いたことがあるような曲ばかりで、
クラシックをあまり知らない人でも楽しめるようになっていました。
一緒にトランプをしてくれた女の子たちがきゃあきゃあ騒いでいたので、
隣にいた静かに聴きたいクラシック通らしいおじさんに「30秒ぐらい静かにしてくれよ!」と怒られてしまいました。
彼女たちは怒られて一瞬しょぼんとしたものの、計ってたかのように30秒後にはまた騒いでいました。
さすがフランス人。
コンサートが終わると、エッフェル塔のライトはもちろん、周りの照明が全て消え、真っ暗になりました。
そこへ…
「ひゅーーーーーーーっどーーーんっ!!!」と、エッフェル塔の向こうに花火が上がりました。
そう、このイベントのメインはこの花火なんです!
花火自体は日本のものと比べたら大したことなかったんですが、
やっぱりこのエッフェル塔をバックにするとすごく絵になって綺麗でした。
花火に合わせて様々なイルミネーションで姿を変えるエッフェル塔の存在感は圧巻で、
たぶん他のタワーじゃこうも美しくは映えないだろうなと思います。
また、フランスの花火は、大音量の音楽に合わせて打ち上げられるので、
日本の花火とはまた違った感覚を味わうことが出来ました。
今回、このキャトーズ・ジュイエのイベントを通して、フランス人の「誇り」を感じる事ができました。
はじめにも書きましたが、フランスは王様や政治家ではなく、革命によって国民が自分たちの手で創った国です。
それが彼らの国に対する誇りとなっているように思います。
国に対する「誇り」とは、その歴史、文化を知り、国を想うことで芽生える感情なのだと思うし、
国を想うことは、自分の街を想うことであり、自分の家族を想うことでもあると僕は思います。
また、フランス人は今でも自分たちの手で国を変えれることを知っているし、自分たちこそが国を創っているのだと知っています。
民主主義国家においては国は政治家が創っているわけではありません。
国を創っているのは国民です。
もちろんそれは日本だって同じです。
では、私たちがどうやって国を創っているか…それは選挙です。
選挙に行くという事は、すなわち国創りに参加するということです。
私たちは、自分たちで自分たちの国を創っていくために、
日本をこれからどういった国にしていきたいのか、
選挙において政党や政治家に投票することでその意思を表明しなければなりません。
もちろん、私たちのその声が国創りに反映されるためには、
私利私欲を捨てて公の為に務めてくれる政治家が国会に送られなければなりませんが…。
ということで、みなさん、7月21日(日)は選挙に行きましょう!
PS。回し者でも何でもありません(笑)
日仏交流コーディネーター
山田 剛士