10年前、僕は初めてフランス・パリの地を踏みました。
パリに着いた翌日、僕が最初に向かったのが「モンマルトル」という場所でした。
「Barbès Rochechouart」という駅で降りるはずが、間違えて終点の「Porte de Clignancourt」という駅に降り立ちました。
駅から外に出た僕は、目の前のその光景に目を疑いました。
見渡す限り黒人しかいない…。
パリ2日目の17歳の青二才には、その場所はただただ「恐怖」でしかありませんでした。
まるでライオンの檻に入れられたうさぎのような心持ちでした。
当時はまだフランス語なんてカタコトの「ぼんじゅーる」と「めるしー」しか言えなかった僕は、とにかくそこを抜けだそうと速足で歩きます。
なぜ駅に戻らなかったのかは覚えていませんが、歩いているうちに駅もどこかわからなくなりました。
歩けども歩けども、でっかい黒人やいかついアラブ人が溢れていました。
実は、このPorte de Clignancourtという場所、パリ市内で最も治安の悪いと言われるパリ市内の一番北に位置しており、この近辺には、黒人やアラブ人をはじめとする移民層が多いのです。
さらにこのPorte de Clignancourtはパリでも最大規模の蚤の市が開催される場所で、安いものを求めてあちこちから貧困層が集まる場所だったのです。
たとえ身ぐるみ剥がされようとも、命さえ助かればいいぐらいの気持ちで、とにかく速歩きでひたすらに歩き続けました。
ようやく駅を見つけた僕は、電車に飛び乗り、結局、モンマルトルには行くことなくそのまま帰宅…。
ほろ苦い17歳の淡い記憶でございました。
その一ヶ月後、もう一度モンマルトルに向かってみましたら、今度は迷うことなく辿り着きました。
そして、このモンマルトルと言う場所に魅了され、以来、幾度となくここに足を運び、パリで一番のお気に入りスポットとなりました。
エッフェル塔、凱旋門、ノートルダム寺院、ルーヴル美術館、シャンゼリゼ通り、ヴェルサイユ宮殿など、パリには観光名所がたくさんありますが、僕の中では、他のどこよりもモンマルトルにパリらしさを感じます。
モンマルトルは僕の庭のようなもんです。
というわけで、今回は僕の庭である「モンマルトル」にみなさんをお連れしましょう。
それでは行きますよ~「On y va!!」 ※On y va(オニヴァ) は英語で言うところのLet's go!!
モンマルトルに行くには、メトロに乗って、4番線の「Barbès Rochechouart」(モンマルトルまで徒歩10分)、もしくは2番線の「Anvers」(モンマルトルまで徒歩3分)で降りてください。
駅を降りて、お土産屋さんがひしめき合う坂道を登ると、そこにそびえ立つのは…
モンマルトルのシンボルともいえるサクレクール寺院(Basilique du Sacré-Coeur)です。
パリでは珍しいビザンチン様式というギリシャやトルコなどでよくみられる建築様式が特徴的な教会です。
ちなみに、サクレ(Sacré)とは「聖なる」、クール(Coeur)とは「心」という意味で、この教会はつまり「聖なる心」という何ともお洒落な名が冠されています。
その名が表すように、真っ白で純白な色をしています。
休日になると、サクレクール寺院の下にはたくさんの若者や観光客が集まります。
教会の中の椅子に座って、あるいは教会下の階段や芝生に座ってボケーッとしているだけで、何だか心が洗われるような気持ちになります。
しかし、ここには「聖なる心」とは裏腹の「汚い心」を持った輩も存在します。
画像はthe Bazooka.comより引用 |
僕が「ミサンガおじさん」と呼ぶ輩です。
サクレクール寺院の敷地内に入ってすぐのところで待ち構えるミサンガおじさんたちは、
観光客を見つけると、数人でやってきて否応なしに絡んできます。
気軽な感じで声を掛け、勝手に腕にミサンガを巻いてきます。
断っても断ってもかなりしつこく絡んできますのでご注意ください。
彼らの口癖は「ノーマネー!ノーマネー!」ですが、断りきれずに巻かれてしまうと、高額なミサンガ料金を取られてしまいます。
だいたい20~30ユーロ(約3000円~4000円)要求してきます。
ノーマネーというのは「お金を取らない」ということではなく、「俺にはお金がない(=だからお前からぼったくる)」ということなのでしょうか…。
なんとかミサンガおじさんを振り切って、サクレクール寺院のある丘の上まで来たら、回れ右して後ろを振り返ってみてください。
ご覧ください、この大パノラマ!!ここからパリの街並みが一望できます。
さて、パリの街並みをご堪能いただいたら、続いて左の方に見える街頭をご覧ください。
街頭に人が登っていますね。
これは僕が「リフティングおじさん」と呼ぶ謎のパフォーマーです。
もうちょっと近くで見てみましょう。
口にペンをくわえて、そのペン先でボールを回しております。
いつもより余計に回しております。
片手を離せば確実に救急車もんですが、リフティングおじさんは落ちません。ボールも落としません。
さらに、この小さく狭い台の上でリフティングを披露。
ボールさばきが乱れてここから足を滑らせたら確実に、丘の下までゴロンゴロンなりますが、リフティングおじさんは落ちません。ボールも落としません。
リフティングおじさんは、いつここにいるのかという情報がないため、行ってもいなかったり、行ったらちょうど終わったところやったりします。
リフティングおじさんに会えたらラッキーです。幸運なことがあるかもしれません。
しかも、落ちない、落とさないということから、世界中から受験生がやってきます。
って僕が言うてるだけです。
他にもサクレクール寺院の周辺では、色んなパフォーマンスが行われています。
モンマルトルはこのサクレクール寺院だけではないのですが、長くなったので、今回はここまで。
というわけで、モンマルトル第2編に続く…
山田 剛士
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