2015年1月13日火曜日

年の瀬に、世相を残す、年を背に。

フランスをはじめ欧米では、若者を中心にタトゥーを入れている人が多くいます。
その中には、漢字でタトゥーを入れている人を頻繁に見かけます。

寿司や漫画と同じくして、漢字もまた数年前から欧米でブームの的となっているようです。

さて、今回は「漢字」について。

「漢字」はおよそ3000年前に中国で生まれた文字です。

漢字が大陸から日本に伝えられたのは5世紀頃で、それまでは文字というものがに日本には存在していませんでした。

それから数世紀後、日本人は漢字の形を基にして、2つの新たな文字を作りました。

それが「ひらがな」と「カタカナ」です。

以来、我々日本人はこれら3つの文字を組み合わせて文章を読み書きしています。

日本語と中国語は似ており、日本人と中国人がそれぞれの言語で会話ができると思っている外国人は少なくありません。

しかし、幸か不幸か、それは間違いです。

同じ漢字を使っているので外国人からすれば似ているように見えるのでしょうが、日本語と中国語は似て非なるもので、フランス語と英語の関係よりも複雑かもしれませんせん。

日本人は中国語で書かれた文章を読むことができないし、逆もまた然り。

いくつか理由はあるでしょうが、「ひらがな」と「カタカナ」の有無が大きいのではないかと思います。

これら2つの文字は日本語において非常に重要な役割を担っています。

「ひらがな」は、動詞の活用や前置詞、あるいは語気の緩和などに使われ、「カタカナ」は外国語の表記などに使われます。

「ひらがな」と「カタカナ」はそれぞれ46字ずつあり、10万字以上あると言われる漢字に比べると覚えるのは屁でもありません。

とはいえ、日本語の文章を読むためには、そのうちの常用漢字2136字を知っていれば十分なので、日本語を勉強している方はご安心を。

「ひらがな」と「カタカナ」は、アルファベットと同じく「表音文字」という種類に属し、一つの文字が一つの音を持ちます。

対して、漢字は「表語文字」の一種で、一つ一つの文字に意味を持ちます。

これこそが、欧米人が「漢字」に対して興味を持つ一つの理由ではないでしょうか。

僕はフランス人に自己紹介する際に、よく自分の名前の由来を説明しています。

『名字の山田は「山にある田んぼ」って意味やねん。たぶん僕の祖先は山に住む農民やったんやろうな。

名前の剛士(たけし)は、「つよい(剛)サムライ(士)」って意味やねん。僕の親はサムライのように強い人間になるようこの名前をつけたんや』などと言っています。

反応はぼちぼち。たまに予想外の食いつき、たまに苦笑をいいただきます。

さて、漢字と言えば、日本では毎年12月にその年を一つの漢字で表す「今年の漢字」が発表されます。

例えば、2020年の夏季オリンピック・パラリンピックの開催都市が東京に決定した昨年の漢字には「輪」が選ばれ、また、東日本大震災が起こった2011年には、「絆」の文字が選ばれました。

この「今年の漢字」の発表は、京都の清水寺で行われます。

日本で最も有名な寺院の一つです。
江戸時代(1603年-1868年)、234人もの人がこの寺の本堂の舞台、地上13メートルの高さから身を投げました。

清水寺本堂


地上から見上げた高さ13メートルの舞台

彼らは絶望して自殺のために身を投げたわけではなく、願いを叶えるために希望を胸に飛び込んだのでした。

実はこの時期に「もし清水寺本堂の舞台から飛び降り、命が助かったならば願いが叶う」という噂というか都市伝説というか迷信のようなものがあったのです。

この高さから飛び降りれば即死でもおかしくなさそうですが、飛び降りた234人のうちの85%にあたる202人が助かったそうです。

彼らの願いが本当に叶ったのかどうかは僕の知るところではありません。

その後、江戸幕府によって飛び降りが禁止されたため、この噂は消えていきましたが、あることわざだけが現在に至るまで残っています。

それが「清水の舞台から飛び降りる」ということわざで、「思い切って大きな決断をする。もしくは大きな決心をして物事を行う」という意味で使われます。


さて、既にご存知の方も多いかとは思いますが、2014年の漢字はというと...
「今年の漢字」 *写真: www.sankei.com

「税」の文字が選ばれました。

4月に消費税が5%から8%に増税されたことが大きな要因でしょう。

フランスと比べると低い税率ですが、フランスには「付加価値税(TVA)」という、政府が現在検討している「軽減税率」にあたるものがあり、日常生活に欠かせないものにかけられる税率が低くなっています。
消費税は、2015年10月からさらに2%を増税して税率を10%に引き上げられる予定でしたが、経済状況が芳しくないことから、政府はこれを2017年4月に延期しました。
増税に関しては賛否両論があり、安倍総理もまた、「清水の舞台から飛び降りる」ような思いで増税の延期に踏み切ったのかもしれません。


さて、みなさんの2014年はどのような年でしたか?また、2015年はどのような年にしたいですか?

漢字一字で下記のコメント欄までどうぞ。


山田 剛士

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